スタンダード 論理的解釈は意外に気楽でええのです。
耳:立ち耳、垂れ耳、耳付は高く、V字型をしており、耳の内側の線は頬に接し、こめかみに向かって前方に向いている。平行に折れるが、スカルの頂点を越えるべきではない。(JKC)
EARS: Prick ears; drop ears, set high, V-shaped with the inner edges lying close to the cheeks, turned forward towards temples. Folds parallel, should not be above the top of the skull. (FCI 英語)
いやぁ・・・難解な表現ですねぇ これが良くあるスタンダードの摩訶不思議ってやつです。
ここからはいつもながらに、あくまでも私見であると断っておきます。
さて、以下の3頭、正しい耳はどれでしょう?
立ち耳は問題ないですね。ともかく一言、立ち耳ですから。勘違いを避けるためにに「立ち耳」のあとは「、」ではなく「。」だと捉えてください。英語版では「;」になっていますよね。形など細かいことには触れていませんね。なので、それ以降の文言は垂れ耳の表現と考えましょう。よーするに、立っていれば何でもええ訳です・・・(この辺り、おそらく後からくっつけたものをさらに変更(一部割愛)した表記なのでなんとなく違和感がありありですが)
ちなみにこの個体はナチュラル(補正なし)に綺麗に立ち上がっってます。
以前(現在も日米では当たり前?)は、断耳(最新スタンダードからは文言が消えたがPrickと言う表現は残っている)によって立たせるのが当たり前で、テーピング等で補正した姿を見かけた方も多いでしょう。最近の不思議な傾向は、断耳せずに治具により立たせる努力がされているようですね。
そんなことしなくても垂れ耳も認められているのにです・・・
耳が立つか立たないかは、大きさと厚さ(軟骨の組成)、被毛の荷重などで決まります。そして、その加減は全身の骨組成にも影響します。すなわち、骨格構成に少なからず影響が出るはずです。その例としてパピヨンとファーレンが別犬種になっていますよね。その違いを考えてみるのも理解度を深める手助けになるかと思います。(これ重要)
さて、問題は折れ耳の表現です。皆が無理矢理に立たせるのは、スタンダードの文言で折れ耳の表現(制約が多い)の理解がし難いからではないかとおっしゃる方もいます。
正直、苦笑してしまうほどの意味不明な表現になっていますね。気を取り直して再度よく読んでみましょう。
垂れ耳、耳付は高く、V字型をしており、耳の内側の線は頬に接し、こめかみに向かって前方に向いている。平行に折れるが、スカルの頂点を越えるべきではない。
ん~~さっぱりわかりません。
文章だけではさっぱりイメージがつかめませんね。困ったものです。
そんなとき、役に立つものがありました。読み手の苦労を知ってか知らずか、FCIスタンダードの表紙イラストです。間違ったものを載せるとは思えませんのでこれを参考にするとします。
と言うことで、イラストと照らせば、このB&Tのお嬢さんは一応合格ですね。
難を言うとすればイラストのイメージする骨量にやや足らない表現であると言うこと。
この個体はサイズが結構小さめです。小型化の際の特徴的な頭部表現が現れています。性別の違いはあれどスタンダードイラストの想定(おそらく♂)したサイズを下回ると思われます。
これにて前段の文言はそういうものだと理解しましょう。(そもそも、独語→英語→日本語と訳される間の変化には難しいものがあるでしょう。さすがにドイツ語はカバー出来ません。だれか独版原本読んでみてくれないかなぁ)
で、問題なのは後段。まぁ、これもイラストで解決できるのですが・・・
「平行に折れるが、」
これはかなり不親切な表現ですね。これって頭部の向きんの上下や、気分・気性によって変わりますよね。イラストですら完璧な平行とは言いづらいものがあります。このようにスタンダード表現を文言に逐一こだわると理解不能になったり大きな勘違いを起こしたり繁殖上重大なエラーを発生させることに繋がります。
「スカルの頂点を越えるべきではない。」
イラストを含め一見すべて超えていますよね???
「above」「over」の違いが理解できていないととんでもない勘違いをします。
杓子定規に頭頂部より上を指しているのではないと理解すべきです。
ですから、イラストも、写真で紹介した犬たちもすべて、正しい耳をしているといえます。
そして、忘れてならないことが一つ。では、この中間タイプはどう捉えたらいいのでしょう。
そもそも、立ち耳を10として垂れ耳(下限)を1とするなら、2~9はだめですか??そう考えるのはナンセンスです。なぜならば上記のRED♀は気分によって片耳のみピント立ち上がるからです。先っちょだけ折れようが、片耳だけ垂れようがすべて許容範囲と考えるのが論理的な解釈です。
ね、スタンダード解釈って意外にお気楽でしょう?
だめなのはダックスフンドのような耳。明らかに頭頂部を超えて折れ曲がる(垂れる)場合だと考えることにしましょう。
ちなみに、ピンシャーとダックス。原産国は同じドイツ。おそらく祖先は同じ。その大きな違い、それは短い脚。環境や用途によって変異し(育種により人為的?)、骨量、骨質や耳の大きさなどの表現の違いが表れてます。
ド-ベルマン・ジャーマン・ミニチュア。スタンダード・ミニチュア・カーニヘン。この大きさによる変異は共通の特徴でそれぞれの表現としては重要になると思ったりもします。(大きさの制約がかかる犬種の場合、その理由が重要になる、例えばハーディングの場合、真っ先に燃費。用途によるサイズの制約は曖昧でかまわないなぜなら用途に合わせて使えばいいだけだから。こんな話も追々やりたいね)
ダックスの場合、大切なのは短脚としての必要構成が一番なのは言うまでもありません。
ミニピン、まだまだ尻尾の項目が残っていたりしますが、切ってない個体が手近に居ないw
まぁそのうちに考えてみましょうかね。
と、つらつら書いてみましたが
明後日、数年ぶりの審査。前はいつだったか忘れてしまった。
いつもと違う顔してショー会場に現れますが、本来はこっちの顔が好きだし本分だと思っています。リンクではブツブツ独り言を言っているかもしれませんので、お聞き逃し無く・・・
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